●GIOGIO●
□リリィ
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ある日家に帰ると先に帰っていたイルーゾォがなにからもったいぶった様子で後ろに何か隠しながらにこにこと歩み寄ってきた
「ただいま…お前なにもってんだ??」
「見てよ今日ね、買ってきちゃったんだ!ほら!きれいでしょ?」
隠していた物を俺の前へと差し出す
そこには何輪か花を付けた鉢植えの小さくて可愛らしい白いユリがあった
「お前そんなの買ってきてどうすんだよ!ちゃんと世話しねぇとユリってのは簡単にダメになっちまうんだぞ?」
「へぇー!よくしってるじゃん!」
くるりと俺に背を向け歩きだすとイルーゾォは手に持ったそれを風当たりのよい窓際の棚へと置いた
ユリの花を目を細めて見つめるイルーゾォはまるで女のようだ
「はぁ……お前…どうすんだよこんなの…俺は面倒見ねぇぞ?」
「大丈夫俺が見る!」
イルーゾォにはなんだかこの花が異様に似合っている
まるであいつの繊細なイメージがそのまま花になったような…
「お前いつも言ってるけどよ俺たちは暗殺を仕事にする身、いつ死…」
言い掛けて途中で口をつぐんだ
こちらを振り向いたイルーゾォの顔があまりにも哀しげだったから…
「わかってる…だからこの花を選んだ…。俺はね…明日も明後日もそのまた次の日も…無事にここに帰ってきてちゃんとこの花の面倒を見るんだ。」
イルーゾォ…
俺はなんだか切なくなって傍に近寄ると華奢な体を抱き締めた
俺はいつからか何かと諦めては生きることに執着することを忘れていたのかもしれない
今まで泣き虫で貧弱だって思ってたけど
そんなこいつからとても大切な事を気付かされる
俺も
お前と一緒に生きるってできるかな?
明日も
明後日も
そのまた次の日も