岩男小説

□開戦間近
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「メタル…。何をしている?」

そう言い放った声とメタルブレードの落ちた音だけが無音の空間に響き渡る。

DWN.010。
一つ下の弟に当たるエアーマン。

「こっちこそお前に聞きたい。何をしにきた?」

メタルマンは何だか醜態を見られたような気がして恥ずかしくて落としたメタルブレードを拾いながら目線を合わせずに聞いた。

「帰りが遅かったので見に来てみたんだ。道草か?お前らしくないな。」

相変わらずの無愛想な態度。
しかしメタルマンは彼のこういうところが嫌いではなかった。
「迎えに来るなんて…もしかして心配でもしたのか??。」

そう言ってからかうと明らかに慌てた顔をして「わ…笑わせるな!そんな事はない!!」と目を泳がせながら答える。
そんな取り乱した姿を見たら可笑しくなってしまって思わず吹き出してしまった。
「な!何が可笑しいのだ!!?」
ムキになって聞き返すエアーマンの焦った姿がより一層笑いを誘う。
「いや…なんでもない!なんでもない!」
「なんでもないことが無かろう!!」
「いや、エアーお前、本当は少しは心配だったんだろ?」
メタルマンは精一杯笑いを堪えながら聞いた。そしてしばらくの沈黙の後に小さく「…ちょっとだけだ…。」と彼は答えた。

もう限界だ!とメタルマンは我慢しきれなくなって声を上げて笑ってしまった。

「いつも素直じゃないのな!」
「お…!俺はいつだって素直だ!!」

エアーマンはそう言い切ると俺の手元の何かに気付いたようで顔をしかめて無言で俺の手を取った。

「何だ?これは??」

ああ。
聞かれたくなかった。

思わず彼の顔から目を逸らす。
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