少し低めで柔らかい声

私をすっぽり
おさめてしまう広い胸に

髪をくしゃくしゃと
なでる大きな手


感じた温もりや

愛しさが

確かに今、ここにあって





だけど
………知ってるんだ。




温もりや
愛しさ
今はまだ、鮮明に記憶する
あなたの仕草に
りんかく、
声、




いつかは
消えてしまうってこと






きっと、
1年後には


あなたの香りすら
思い出せない




きっと、
10年後には


あなたの声やぬくもりは
あたしの中から姿を消して

ぼやけてしまった
あなたの全てが残るんだろう




知ってる


知ってるんだ








でも、
そんなのイヤだから


心の大事な部分に
鍵をかけて
しまいこんだ


この先
あなたじゃない人と
恋に落ちても


あなたじゃない
誰かと幸せになる
私がいても




あなたと過ごした日々や
感じた愛しさを
忘れてしまいたくなくて

記憶がこぼれだして
なくなることがないように


つよく


つよく


ふたを閉ざして
鍵をかけて

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